生産設備や自動化ラインには、さまざまな種類のセンサーが使われています。「近接センサーと光電センサーって何が違うの?」「どんな場面でリミットスイッチを使えばいいの?」——こうした疑問を持つ現場の方は多いはずです。
本記事では、工場で特によく使われる近接センサー・光電センサー・リミットスイッチの3種類に絞り、それぞれの動作原理・特徴・選び方をわかりやすく解説します。PLCやシーケンサーとの接続についても触れますので、電気初心者の方もぜひ参考にしてください。
センサーの役割とは?
センサーとは、物体の有無・位置・状態などを検知してPLCや制御盤に信号を送る部品です。人間でいえば「目」や「皮膚」のような役割を果たします。センサーからの信号をPLCが受け取り、その結果に応じてモーターやシリンダー・ソレノイドバルブなどを動かすのが、工場自動化の基本的な仕組みです。
センサーの出力信号には大きく分けてON/OFF信号(デジタル出力)とアナログ信号の2種類があります。本記事で取り上げる3種類はすべてON/OFFのデジタル出力タイプです。
① 近接センサー(プロキシミティセンサー)
動作原理
近接センサーは、非接触で金属などの物体を検知するセンサーです。センサー先端部から電磁界や静電界を発生させ、物体が近づくことでその変化をとらえてON信号を出力します。
最も一般的な誘導型(高周波発振型)は、コイルが発生させる磁界の変化を利用して金属を検知します。金属以外は検知できませんが、動作が安定しており工場での使用頻度が非常に高いタイプです。
特徴
- 非接触のため、機械的な摩耗がなく長寿命
- 検知距離は一般的に2〜20mm程度(機種による)
- 金属(鉄・アルミ・ステンレスなど)を検知可能
- 油・水・粉塵などの汚れに強い(防護等級の高い機種が多い)
- 樹脂・木材・ガラスなどの非金属は検知できない(誘導型の場合)
こんな場面で使われる
- シリンダーのロッド位置(前進端・後退端)の確認
- 金属ワークの有無検知
- コンベア上の製品カウント(金属製品)
- 回転体の回転数計測(歯車の歯をカウント)
出力タイプ(NPN/PNP)に注意
近接センサーにはPLCへの接続方式としてNPN出力(シンク出力)とPNP出力(ソース出力)の2種類があります。接続するPLCや制御機器の入力仕様に合わせて選択する必要があります。日本国内の設備では従来NPN出力が主流でしたが、近年はPNP出力も増えています。誤って選ぶと動作しないため、必ずPLCのマニュアルで確認してください。
② 光電センサー(フォトセンサー)
動作原理
光電センサーは、光(可視光・赤外線・レーザーなど)を使って物体を非接触で検知するセンサーです。光を投光し、その光が物体によって遮断・反射されることを検知してON/OFF信号を出力します。
光電センサーには主に以下の3方式があります。
| 方式 | しくみ | 特徴 |
|---|---|---|
| 透過型 | 投光器と受光器を向かい合わせ、光が遮断されると検知 | 長距離・高精度。配線が2か所必要 |
| 反射型(回帰反射型) | 投受光一体。反射板で光を戻し、遮断を検知 | 配線が1か所。反射板が必要 |
| 拡散反射型 | 投受光一体。物体からの乱反射光を検知 | 配線が1か所。反射板不要。検知距離は短め |
特徴
- 金属・非金属を問わず検知できる(近接センサーとの大きな違い)
- 検知距離が長い(数cm〜数mまで対応する機種がある)
- 透明・半透明の物体は検知が難しい場合がある
- 強い外乱光(直射日光など)の影響を受けやすいものがある
- 油・水・粉塵でレンズが汚れると誤検知の原因になる
こんな場面で使われる
- 樹脂・段ボール・食品などの非金属ワークの検知
- コンベア上の製品有無検知・カウント
- 容器の液面レベル検知
- 安全ライトカーテン(透過型の応用)
③ リミットスイッチ(マイクロスイッチ)
動作原理
リミットスイッチは、物体が接触することでアクチュエーター(可動部)が押され、内部の接点がON/OFFする接触式のスイッチです。機械的な動作で確実に接点を切り替えるため、動作の信頼性が高く、古くから使われてきた実績があります。
特徴
- 外部電源不要で動作する機種がある(有電圧・無電圧接点)
- 物理的な接触が必要なため、消耗・摩耗がある(近接センサーより寿命は短め)
- 構造がシンプルで安価
- 動作が確実で、誤検知が少ない
- アクチュエーターの形状(ローラー型・レバー型など)が豊富
- 高温・高振動環境にも対応した機種がある
こんな場面で使われる
- ドア・カバーの開閉検知(インターロック)
- 可動部の端点(原点・リミット)検知
- 非常停止回路(安全回路)への組み込み
- シリンダーや搬送機の位置確認(接触が許容できる場合)
3種類の比較まとめ
3種類のセンサーの特徴を一覧で整理します。
| 項目 | 近接センサー | 光電センサー | リミットスイッチ |
|---|---|---|---|
| 検知方式 | 非接触(電磁界) | 非接触(光) | 接触(機械的) |
| 検知対象 | 主に金属 | 金属・非金属 | すべての物体 |
| 検知距離 | 短い(数mm〜数cm) | 長い(cm〜m) | 接触が必要 |
| 耐汚染性 | 高い | レンズ汚れに弱い | 高い(密閉型) |
| 寿命 | 長い(非接触) | 長い(非接触) | 短め(接触摩耗) |
| コスト | 中 | 中〜高 | 低 |
| 主な用途 | 金属の位置・有無確認 | 多様な物体の検知 | 位置確認・安全回路 |
選び方のポイント
センサーを選ぶ際は、以下の順番で条件を整理すると失敗が少なくなります。
ステップ1:検知対象の材質を確認する
金属ワークなら近接センサーが基本です。樹脂・段ボール・食品など非金属なら光電センサーを選択してください。
ステップ2:環境条件を確認する
油・切削液・粉塵が多い環境では、レンズが汚れやすい光電センサーより近接センサーが有利です。センサー取り付け場所の防護等級(IP規格)も確認しましょう。
ステップ3:接触の可否を確認する
ワークや可動部に接触しても問題ない場合や、コスト重視・安全回路用途ならリミットスイッチも有力な選択肢です。
ステップ4:PLCの入力仕様を確認する
近接センサー・光電センサーを選ぶ場合は、接続先PLCの入力タイプ(NPN/PNP)を必ず確認し、センサーの出力タイプと合わせてください。
まとめ
工場でよく使われる3種類のセンサーの特徴と選び方をまとめると、次のとおりです。
- 近接センサー:金属の検知に強く、汚れにも強い非接触センサー。工場で最も使用頻度が高い
- 光電センサー:金属・非金属を問わず検知でき、長距離検知も可能な非接触センサー
- リミットスイッチ:接触式で確実な動作が得られ、安全回路にも使われる信頼性の高いスイッチ
センサーの選定を間違えると誤検知・未検知によるトラブルにつながります。材質・環境・用途を整理したうえで、適切なセンサーを選んでください。PLCとの配線方法(NPN/PNP)については「PNPとNPNトランジスタの違いを徹底解説!」の記事もあわせてご参照ください。


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