シリーズ第2回
自己保持回路って何?ボタンを離しても動き続ける仕組み!
第1回では、ラダー図の基本記号(a接点・b接点・出力コイル)と、最もシンプルな回路を学びました。
でも実際の工場設備では「ボタンを押したら動き始めて、ストップボタンを押すまで動き続ける」という動作が必要です。
それを実現するのが自己保持回路です。この回では、自己保持回路の仕組みをラダー図でわかりやすく解説します。
📋 この記事でわかること
- 自己保持回路とは何か(概念・目的)
- 自己保持回路のラダー図の読み方
- スタート・ストップの動作を追う手順
- 現場でよくある応用パターン
- 自己保持回路に関するよくある疑問
自己保持回路とは?「押したら動き続ける」仕組み
自己保持回路とは、一度スタートボタンを押したら、ボタンを離しても出力をONのまま維持し続ける回路のことです。
実際の工場設備でイメージしてみましょう。
🏭 工場設備の例
- コンベアの「スタートボタン」→ 押したらコンベアが動き始め、「ストップボタン」を押すまで動き続ける
- ポンプの「起動ボタン」→ 押したらポンプが動き続け、「停止ボタン」で止まる
- 工場の照明スイッチ → ON押したら点灯し続け、OFFを押すまで消えない
このように、「押したら動き続ける」という動作はすべて自己保持回路で実現されています。PLC(シーケンサー)を使った工場の自動化において、最も基本的かつ必須の回路です。
自己保持回路を構成する3つの要素
自己保持回路は以下の3つのパーツで構成されます。
| 要素 | ラダー記号 | 役割 |
|---|---|---|
| スタート接点(X0) | a接点(常開) | 押したときだけON。起動のきっかけ |
| ストップ接点(X1) | b接点(常閉) | 押すとOFFになる。回路を遮断して停止 |
| 自己保持接点(Y0) | a接点(出力コイルと同じアドレス) | 出力がONになったら自分自身で通電を維持 |
自己保持回路のラダー図を読んでみよう
まず、自己保持回路のラダー図全体を見てください。
▲ 自己保持回路のラダー図(緑:スタート接点、赤:ストップ接点、橙:自己保持接点、青:出力コイル)
動作を1ステップずつ追ってみよう
STEP 1|スタートボタンを押す(X0: ON)
スタートSW(X0)のa接点が閉じます。電気が流れ、出力コイルY0がONになります。コンベアが動き始めます。
STEP 2|スタートボタンを離す(X0: OFF)→ 自己保持が働く
X0のa接点は開きますが、Y0がONになった瞬間にY0の自己保持接点(補助接点)も同時にONになっています。この補助接点がX0と並列に接続されているため、X0を離してもY0へ電気が流れ続けます。→ コンベアは動き続けます。
STEP 3|ストップボタンを押す(X1: OFF)
ストップSW(X1)はb接点なので、通常時は「閉じて」います。ボタンを押すと「開き」、回路が遮断されます。Y0への電流が途絶えるためY0がOFFになり、コンベアが停止します。Y0の自己保持接点も同時にOFFとなり、回路は初期状態に戻ります。
💡 自己保持回路のポイントまとめ
- スタートはa接点(押したときだけON)
- ストップはb接点(通常はON、押したらOFF)
- 出力Y0の補助接点をスタート接点と並列に接続することで「自分で自分をキープ」する
- ストップb接点が直列に入っているため、ストップを押せば必ず止まる
自己保持回路に関するよくある疑問
現場でよく使う自己保持回路の応用パターン
自己保持回路は基本形をおさえたうえで、以下のように応用されます。
| パターン | 内容 | 使用例 |
|---|---|---|
| 基本自己保持 | スタート・ストップの基本形 | コンベア、ポンプ起動 |
| インターロック付き | 他の出力がONのとき起動不可 | 正転・逆転の同時動作防止 |
| 条件付き自己保持 | センサー信号を起動条件に追加 | ワークがセットされたら起動 |
| タイマーリセット | 一定時間後に自動で自己保持解除 | タイマーで自動停止するポンプ |
まとめ:自己保持回路はラダー図の最重要回路
- 自己保持回路は「スタートで起動し、ストップで停止する」基本回路
- スタート:a接点(X0)、ストップ:b接点(X1)、自己保持:Y0補助接点の並列接続
- 出力Y0がONになると、Y0の補助接点がスタート接点と並列に自己をキープする
- ストップb接点が直列に入っているため、ストップを押せば必ず回路が解除される
- 工場の自動化設備のほぼすべての起動・停止回路がこの自己保持をベースにしている
📚 ラダー図の読み方シリーズ



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