【シリーズ第2回】ラダー図の読み方|自己保持回路をわかりやすく解説

基礎知識

シリーズ第2回

自己保持回路って何?ボタンを離しても動き続ける仕組み!

第1回では、ラダー図の基本記号(a接点・b接点・出力コイル)と、最もシンプルな回路を学びました。
でも実際の工場設備では「ボタンを押したら動き始めて、ストップボタンを押すまで動き続ける」という動作が必要です。
それを実現するのが自己保持回路です。この回では、自己保持回路の仕組みをラダー図でわかりやすく解説します。

📋 この記事でわかること

  1. 自己保持回路とは何か(概念・目的)
  2. 自己保持回路のラダー図の読み方
  3. スタート・ストップの動作を追う手順
  4. 現場でよくある応用パターン
  5. 自己保持回路に関するよくある疑問

自己保持回路とは?「押したら動き続ける」仕組み

自己保持回路とは、一度スタートボタンを押したら、ボタンを離しても出力をONのまま維持し続ける回路のことです。

実際の工場設備でイメージしてみましょう。

🏭 工場設備の例

  • コンベアの「スタートボタン」→ 押したらコンベアが動き始め、「ストップボタン」を押すまで動き続ける
  • ポンプの「起動ボタン」→ 押したらポンプが動き続け、「停止ボタン」で止まる
  • 工場の照明スイッチ → ON押したら点灯し続け、OFFを押すまで消えない

このように、「押したら動き続ける」という動作はすべて自己保持回路で実現されています。PLC(シーケンサー)を使った工場の自動化において、最も基本的かつ必須の回路です。

自己保持回路を構成する3つの要素

自己保持回路は以下の3つのパーツで構成されます。

要素 ラダー記号 役割
スタート接点(X0) a接点(常開) 押したときだけON。起動のきっかけ
ストップ接点(X1) b接点(常閉) 押すとOFFになる。回路を遮断して停止
自己保持接点(Y0) a接点(出力コイルと同じアドレス) 出力がONになったら自分自身で通電を維持

自己保持回路のラダー図を読んでみよう

まず、自己保持回路のラダー図全体を見てください。

X0 スタートSW X1 ストップSW Y0 出力(コンベア) Y0 自己保持接点

▲ 自己保持回路のラダー図(緑:スタート接点、赤:ストップ接点、橙:自己保持接点、青:出力コイル)

動作を1ステップずつ追ってみよう

STEP 1|スタートボタンを押す(X0: ON)

スタートSW(X0)のa接点が閉じます。電気が流れ、出力コイルY0がONになります。コンベアが動き始めます。

STEP 2|スタートボタンを離す(X0: OFF)→ 自己保持が働く

X0のa接点は開きますが、Y0がONになった瞬間にY0の自己保持接点(補助接点)も同時にONになっています。この補助接点がX0と並列に接続されているため、X0を離してもY0へ電気が流れ続けます。→ コンベアは動き続けます。

STEP 3|ストップボタンを押す(X1: OFF)

ストップSW(X1)はb接点なので、通常時は「閉じて」います。ボタンを押すと「開き」、回路が遮断されます。Y0への電流が途絶えるためY0がOFFになり、コンベアが停止します。Y0の自己保持接点も同時にOFFとなり、回路は初期状態に戻ります。

💡 自己保持回路のポイントまとめ

  • スタートはa接点(押したときだけON)
  • ストップはb接点(通常はON、押したらOFF)
  • 出力Y0の補助接点をスタート接点と並列に接続することで「自分で自分をキープ」する
  • ストップb接点が直列に入っているため、ストップを押せば必ず止まる

自己保持回路に関するよくある疑問

Q. ストップをa接点にしてはダメなの?
ストップをa接点にすると、ボタンを押している間だけ停止し、離すとまた動いてしまいます。安全のためにも停止はb接点が基本です。また工場の安全規格では、非常停止回路は必ずb接点(常閉接点)を使用するよう定められています。
Q. 自己保持接点のアドレスは必ずY0と同じにする必要があるの?
はい、自己保持には出力コイルと同じアドレスの補助接点を使います。例えばY0コイルがONになったらY0の補助接点もONになる、という仕組みです。これはPLC(シーケンサー)のソフトウェア上で自動的に連動しています。
Q. 電源が切れたら自己保持は解除される?
通常のPLCでは、電源OFF時に自己保持は解除(リセット)されます。電源が再投入されてもY0はOFFの状態から始まります。ただし、PLCのラッチ(保持)機能を使えば電源OFFでも状態を保持することが可能です。現場では用途に応じて使い分けが必要です。

現場でよく使う自己保持回路の応用パターン

自己保持回路は基本形をおさえたうえで、以下のように応用されます。

パターン 内容 使用例
基本自己保持 スタート・ストップの基本形 コンベア、ポンプ起動
インターロック付き 他の出力がONのとき起動不可 正転・逆転の同時動作防止
条件付き自己保持 センサー信号を起動条件に追加 ワークがセットされたら起動
タイマーリセット 一定時間後に自動で自己保持解除 タイマーで自動停止するポンプ

まとめ:自己保持回路はラダー図の最重要回路

  • 自己保持回路は「スタートで起動し、ストップで停止する」基本回路
  • スタート:a接点(X0)、ストップ:b接点(X1)、自己保持:Y0補助接点の並列接続
  • 出力Y0がONになると、Y0の補助接点がスタート接点と並列に自己をキープする
  • ストップb接点が直列に入っているため、ストップを押せば必ず回路が解除される
  • 工場の自動化設備のほぼすべての起動・停止回路がこの自己保持をベースにしている

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