【シリーズ第1回】ラダー図の読み方入門|基本記号と回路の見方をわかりやすく解説

基礎知識

シリーズ第1回

ラダー図って何?まずはここから!

工場の生産ラインや自動化設備を動かしているPLC(シーケンサ)。そのプログラムを書くときに使われるのが「ラダー図」です。
「なんか電気の図面みたいで難しそう…」「専門用語が多くてついていけない…」と感じている方も多いと思います。
でも安心してください。ラダー図は、基本の記号さえ覚えれば、誰でも読めるようになります。
このシリーズでは、ラダー図をゼロから読めるように、基本記号・回路の見方を一つひとつ丁寧に解説していきます。

ラダー図とは?

ラダー図(ラダーダイアグラム)とは、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)のプログラムを図で表現するための言語です。「はしご(ladder)」のような見た目をしているため、この名前がついています。

工場で使われる自動化設備、たとえばコンベア・ロボットアーム・プレス機・射出成形機・溶接機など、さまざまな機械の動きはPLCによって制御されています。そしてそのPLCに「どう動くか」を指示しているのがラダー図のプログラムです。

もともとはリレーシーケンス(電磁リレーを組み合わせた制御回路)をそのまま図で表現したものが起源で、電気技術者にとって馴染みやすい表記方法として広まりました。現在も国内外の製造現場で最も広く使われているPLCプログラミング言語です。

なぜラダー図を読めると現場で役立つの?

設備が止まったとき、ラダー図を読めると「どの条件が満たされていないか」「どの出力が出ていないか」をPLCのモニタ画面で確認できます。故障の原因を早く特定できるため、復旧時間を大幅に短縮できます。保全担当者だけでなく、オペレーターや生産技術担当者にとっても非常に重要なスキルです。

ラダー図の基本構造

ラダー図は大きく3つの要素から成り立っています。まずこの3つを頭に入れておくと、あとの説明がスムーズに理解できます。

① 母線(バスライン)

ラダー図の左右に縦に引かれた2本の線のことです。左側の母線が電源の+側(L側)、右側が電源の-側(N側)に相当します。電気は左の母線から流れ始め、右の母線に向かって流れます。この「左から右へ」という流れが、ラダー図を読む基本の方向です。

② 接点(コンタクト)

スイッチやセンサー、他の出力の状態を表す記号です。電気を「通すか・通さないか」を決めるスイッチの役割をします。押しボタン・リミットスイッチ・光電センサー・内部リレーなど、さまざまな機器の状態がこの記号で表現されます。

③ コイル(出力)

各ラングの右端に配置される出力記号です。左側の接点の条件がすべて成立したとき(電気が流れたとき)にONになります。モーターの起動・ランプの点灯・電磁弁の開閉・内部リレーのONなど、実際の動作と結びついています。

基本記号を覚えよう

ラダー図で最初に覚えるべき記号は3種類だけです。この3つさえ押さえれば、基本的な回路は読めるようになります。一つひとつ丁寧に確認していきましょう。

記号名 ラダー図の見た目 意味・使いどころ
a接点
(ノーマルオープン)
通常はOFF(開いている)の接点です。対応するデバイスがONになったときだけ閉じて、電気を通します。スタートボタンや確認センサーなど「押したとき・検知したとき」だけ動作させたい場面で使われます。
例)スタートボタン、ワーク検知センサー、前ステップ完了フラグ
b接点
(ノーマルクローズ)
通常はON(閉じている)の接点です。対応するデバイスがONになったときに開いて、電気を止めます。「異常が発生したら止める」「ボタンを押している間だけ止める」という使い方が典型的です。
例)非常停止ボタン、過負荷リレー、ドア開放インターロック
出力コイル 左側のすべての接点条件が成立したときにONになる出力記号です。一つでも条件が不成立になればOFFになります。実際の設備の動作(モーター回転・ランプ点灯・バルブ開など)と直結しています。
例)コンベアモーター、作業完了ランプ、エアシリンダ電磁弁

a接点とb接点の違いをもっとわかりやすく

a接点とb接点の名前は、電気の世界では昔から使われてきた呼び方です。英語では a接点=”NO(Normally Open:通常開)”、b接点=”NC(Normally Closed:通常閉)”と呼びます。

身近な例で考えてみましょう。部屋の照明スイッチを押すと電気がつく、これがa接点のイメージです。スイッチを押していないとき(通常時)は電気が通らず、押したときだけ通ります。

一方b接点は、冷蔵庫のドアを開けると中のランプが点灯する仕組みに似ています。ドアが閉まっているとき(通常時)はスイッチが押されて回路が切れており、ドアを開けるとスイッチが戻って回路がつながります。非常停止ボタンも同じで、通常は回路がつながっており、ボタンを押すと回路が切れて設備が止まります。

最初の回路例:スイッチでランプを点灯させる

それでは、実際に最もシンプルなラダー図を読んでみましょう。「スタートボタン(X0)を押したらランプ(Y0)が点灯する」という回路です。実際の設備でも、運転確認ランプや動作表示ランプによく使われるパターンです。

▼ ラダー図(回路例)

X0 スタートSW Y0 ランプ点灯

この図を左から右へ順番に読んでいきましょう。

この回路の読み方(ステップごとに解説)

  1. 左の母線から電気が流れ始めます。ラダー図は常に左の母線(電源ライン)から読み始めます。
  2. X0の接点(a接点)に差し掛かります。X0はスタートボタンに割り付けられた入力です。スタートボタンが押されていない状態ではX0はOFF、つまりa接点は開いていて電気が通れません。
  3. スタートボタンを押すとX0がONになります。a接点が閉じて電気が接点を通り抜けます。
  4. 電気がY0のコイルに到達します。Y0はランプに割り付けられた出力です。コイルに電気が流れると、Y0がONになります。
  5. ランプが点灯します。Y0がONになることで、実際の設備側のランプに信号が出力され、ランプが光ります。
  6. ボタンを離すとX0がOFFに戻ります。a接点が開き電気が止まり、Y0もOFFになってランプが消えます。

ポイント:XとYの意味

三菱電機のPLC(Qシリーズ・iQシリーズなど)では、X(エックス)が入力デバイス(ボタン・センサーなど外部からの信号)、Y(ワイ)が出力デバイス(モーター・ランプ・バルブなど実際の動作先)を表します。オムロンやキーエンスなどメーカーによって記号の表記は異なりますが、「入力で条件を作り、出力で動作させる」という考え方はどのPLCでも共通です。

第1回のポイントまとめ

今回学んだ内容を整理しておきましょう。これらが「ラダー図を読む」ための最初の土台になります。

✅ ラダー図とはPLCのプログラムを図で表したもの。工場の自動化設備のほとんどはラダー図で制御されている。

✅ 母線・接点・コイルの3つがラダー図の基本要素。電気は左の母線から右へ流れる。

✅ a接点(NO)は通常OFF。デバイスがONになったとき閉じて電気を通す。スタートボタンや検知センサーに使われる。

✅ b接点(NC)は通常ON。デバイスがONになったとき開いて電気を止める。非常停止やインターロックに使われる。

✅ 出力コイルは左側の条件がすべて成立したときON。実際の設備の動作(モーター・ランプ・バルブ等)と結びついている。

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